ジンバブエ最後の夜に乾杯!したら怒られた ~アフリカ旅行記㉒~
長らく更新をサボってしまった。あの有名なインフレ紙幣、ジンバブエドルを手に入れた前回 ↓
1.USドルの補給ポイント ジンバブエ!
ジンバブエは飯もうまいし、人も優しい。
↑ ノリで食べてしまった芋虫。食べた瞬間に吐くかと思ったけど、うまくもまずくもないリアクションに困る味だった。
何を食べてもそこそこうまいし、なにより1ドル~2ドル程度とコストパフォーマンスが抜群。
しかし、最もよかったのは
「USドルがおろせる」ということだ。
ホテルや電車のチケット、サファリツアーの代金など、アフリカでは多くの場面でUSドル払いを要求される。
日本人からしたら考えられない話だが、東アフリカのように経済が不安定な国の人々は、自国の通貨を信用していない。
実際にハイパーインフレに陥ったジンバブエのように、「自国の通貨が紙くず同然の価値にまで暴落してしまうかもしれない」という懸念を常に持っているので、世界的に信用力が高いUSドルを持っておきたいのだと思う。
ところが。アフリカではさまざまな場面でUSドルが必要にも関わらず、街のATMでクレジットカードを使っておろせるのは現地通貨のみ。
必要なのに、補充できない──これは治安・衛生と同じくらい東アフリカ旅行の難易度を大きく引き上げる要因となっている。
ちなみに、日本円は海外では基本的に「ザコキャラ」である。タイや台湾など、アジアの数国やアメリカを除いて、換金レートは非常に悪い。
世界的で断トツに強いのはUSドル、次いで旧フランス領で強いEUROといったところか。
必要なのにおろせない──少しずつUSドルが失われていく恐怖感がつきまとうアフリカにおいて、オアシスとなるのがジンバブエだ。
ジンバブエは自国通貨としてUSドルを使用しているので、ATMからUSドルを補給できるのである。
枯渇寸前だったUSドル紙幣がATMから出てきたときの喜びは、今でも覚えている。
ATMから当たり前のようにお金をおろせる──日本では当たり前すぎて感謝もしないことだが、アフリカではありがたく感じられる。
ブラワヨはジンバブエでもかなり大きい部類に入る街で、そこそこ活気に溢れている。
マーケットではソーラーパネルとか普通に売ってるけど、誰が買うんだろう。
2.ジンバブエの博物館はすばらしい
ブラワヨでは博物館見学に。
博物館見学に興味があったというより、暇だったので時間つぶしに入ろうと思った程度だったのだが、結果的に大当たりだった。
3階建ての広大な館内は、「地球の歴史ゾーン」「人類の歴史ゾーン」「宇宙の歴史ゾーン」といったように、テーマごとの歴史が学べるようになっている。
造形物もハイクオリティで、1日いても飽きない構造になっている。
「所詮アフリカの博物館だろ」
そう思っていたのが恥ずかしい。
3.ジンバブエ最後の夜に乾杯!したら怒られた
いよいよ、翌日はジンバブエを離れて南アフリカのヨハネスブルグに向かうことに。
いろいろあったアフリカも、終盤になってくると柄にもなく感慨深くなってくる。
ジンバブエ最後の夜にささやかな祝杯をあげようと、スーパーでビールを購入する。
早速飲もうと思い、スーパーを出たところで「プシュッ」と缶タブを引っ張ったところ・・・
「〇※▼#◎%*!!!!!」
缶を開けると同時に、怒り狂った複数の住民が向かってくる。
言っていることはわからないが、
どうやら路上でビールを飲んでいることに激怒しているようだ。宗教上飲酒が禁じられているイスラム教徒が多くいるジンバブエでは、人前で飲酒するなど、もってのほかなのだろう。
本当にこの旅はよく怒られるなあ。
自分の宗教の戒律を他人に押し付けるのはいかがなものかとも思うが、トラブルになるのは避けたい。
「ソーリーソーリー」
謝ってから、ビール缶をビニール袋の中にしまった。まあ、その後タオルにくるんでこっそり飲んだけど。
実は、世界でも路上で飲酒する文化がある国は多くない。日本ではコンビニでお酒を買って公園で乾杯するのは当たり前だったが、世界的には非常識な行動である。
自分の出身大学では多くの学生が路上で一気飲みして、高田馬場の駅前を吐しゃ物まみれにした挙句に倒れて寝ている。
この国の人たちからしたら戒律面でも、治安の面でも信じられない光景なんだろうな。
しかし、暑い中外でキンキンに冷えたビールを飲む感覚が味わえにとは。日本に生まれてよかったとあらためて思う。
カイロでかくれんぼ?エジプトは最後までトラブル続き ~アフリカ旅行記⑪~
ツタンカーメン王の墓で係員の賄賂攻勢にさらされた前回 ↓
いよいよアフリカ旅行、エジプト編も最終日。
翌日の夕方に、カイロ空港からタンザニアのザンジバル島へと出発するので、
夜行バスで午前中にカイロに戻ってきた。
あとは適当に街中をぶらついて空港に向かうだけなのだが、
まさか最後の最後にアクシデントが起きるとは。
1.出発当日、カイロで地下鉄に
出発前、最後においしいコシャリ(エジプトの郷土料理)を食べられる店でも探そうと、カイロの地下鉄に乗っている時にアクシデントは起きた。
2.壮大なかくれんぼの幕開け
カイロの地下鉄は、朝から晩までいつも混んでいる。
たしか滞在中は一度も座れなかったはずだ。
この日の電車もいつも通りの満員で、車内で先輩と分断されてしまう。
「まあ、あと3駅くらいだし、別にいいか」
と思ってその時は気にも留めなかったが、これが悲劇の始まりだった…
降りる予定の駅が近づいてきたので、先輩に「降りますよ」と声をかける。
しかし、返答はない。周囲を見回しても先輩の姿が見当たらない。
おかしい。まさか。
明らかに動揺している東洋人を見かねて、乗客のおっちゃんが話しかけてくる。
「お前の友達なら前の駅で降りたぞ」
その瞬間、頭の中は真っ白だ。
はぐれた。
しかも通信手段はない。
広大なカイロ市内を舞台にした、かくれんぼの幕開けである。
しかもこの日がザンジバル行きの飛行機出発日で、チケットは先輩が持っている(Eチケットを先輩が2名分予約している)。
制限時間は5時間、飛行機に乗り遅れたらカイロに置き去り&航空券代パー
という今までにない緊張感で行われるかくれんぼだ。
ショックを受けて打ちひしがれていても、事態は好転しない。
とにかく何か行動を起こさねば。人間、極限まで追い詰められると意外と冷静になるらしい。
最初は先輩が降りたと思われる駅へ行ったが姿はなし。
先輩が降りたと思われる駅も探すが、ダメ。見当たらない。
この瞬間、捜索範囲は地下鉄という限られた範囲からカイロ市内まで広がった。
3.思いつく限りの場所を探すも…
ここからは先輩の行動を想像して動くしかない。
地下鉄の各駅をしらみつぶしに探した後は、初日に泊まった日本人宿へ行くも、成果はなし。
日本人宿ではWi-Fiがあるので、一応先輩のMessengerに連絡してみる。しかし当然向こうも通信手段がないので、反応なし。
刻一刻と時間が過ぎていく。
4.腹が減っては戦が出来ぬ
考えても考えても、先輩の行き先は分からない。
焦りは増していくが、こんな時でも腹は減る。
一刻を争う事態にも関わらず、足は自然と中心街のコシャリチェーン店へ。
完全な現実逃避である。
コシャリのチェーン店。味も良く、値段もお手頃。なにより、エジプト人特有の「支払いで揉める」ことがないのが素晴らしい。
エジプトの国民食、コシャリ。ご飯・パスタ・マカロニ・豆を混ぜて、フライドオニオンとトマトソースをかけた料理で、日本人の口にも合う。エジプトにいる間中、コシャリばかり食べていた。
5.最後は勘で空港へ
悠長に食事をしている間も、時間は過ぎる。
残り2時間となり、最後は勘で空港へ向かうことに。
先輩も同じ考えで空港へ向かってくれていたらいいが、違ったら今度こそ完全にアウトだ。
祈るような気持ちで路上に泊まっているタクシーを呼び止め、空港までの値段交渉を始める。
ここまで切羽詰まっている状況なのに、無意識に値切りにいくのは自分でもびっくりする。
値段交渉が成立して乗り込むも、カイロ市内は大渋滞。
朝から晩までひっきりなしに渋滞するのがカイロの交通事情だ。
値切りなんかしてないで、さっさと乗ればよかったと後悔したが後の祭り。
5.究極の2択
予定よりも大幅に遅れて空港の近くに来たのだが、そこで運転手から予期せぬ質問が。
「どこのターミナルに行くんだ?」
またも凍りついた。
カイロのような大きな空港なのだから、ターミナルが複数あっても不思議ではない。
日本人宿に寄った時に調べておかなかったことを激しく後悔した。
ターミナル1or2
間違えたら間違いなく乗り遅れ&数万円の航空券が消し飛ぶ究極の2択だ。
国際空港なのだから、海外行きはターミナル1なのでは──いや、成田は海外行きでも2や3の場合がある。
以前、このパターンで賭けに敗れ、マレーシア行きの飛行機に乗りそびれた苦い過去を思い出す。
しかし長々と迷っている暇はない。意を決して運転手に行き先を告げる。
「ターミナル1」
6.再会
結果的に、究極の2択にも勝利し、先輩にも会えたし飛行機にも乗れた。
ちなみにチェックイン時間はとっくに過ぎていたのだが、係員に頼み込んで乗せてもらった。大学で単位をもぎ取る時に培った技術が遠いエジプトで役立つとは。
先輩は降りるべき駅を勘違いして降りてしまい、慌ててこちらを探すも全て行き違いになっていたとのこと。
色々な勘違いやリサーチ不によって、本来する必要のない捜索劇やギャンブルをすることになってしまった。
この数時間でだいぶ寿命が縮んだ気がする。
これで晴れてエジプトを後にする訳だが、正直エジプトの思い出はピラミッドやツタンカーメンの墓ではなく、
「ラクダのホモガキ」
「ツタンカーメンの墓の賄賂おやじ」
「カイロかくれんぼ」
「タクシー車内で究極の二択」
アクシデントに埋め尽くされてしまった。
もはやこれらの印象が強すぎて、ピラミッドの内部とかほとんど覚えていない・・・
(ムダに)心身共ににすり減ったエジプト編を終え、
次回より、本格的にアフリカ旅行スタート。
ぼったくり&セクハラ !ピラミッドに生息する鬼畜ラクダ使い アフリカ旅行記⑧
ピラミッド入り口付近で子ども達に囲まれまくった前回 ↓
ピラミッドの敷地内は完全に観光地化されていて、風情のかけらもない。
アンコールワットは入り口付近以外は商売禁止で、遺跡の保存を重視していたのとは対照的に、ピラミッドはほとんど無法地帯だ。
目が合うと物を売りつけてくる土産物屋、写真撮影禁止の場所で撮影を許可する代わりに賄賂を要求する係員・・・古代文明のロマン台無しだよ。
1.ラクダに乗ってみよう
ピラミッドの敷地内では、多数のラクダ使い達が観光客を巡って凌ぎを削っている。
特に多くラクダ使いが待ち構えているのはギザの三大ピラミッドの奥の方なのだが、その辺りは数メートル歩くだけで声をかけられっぱなしだ。
普段だったらあしらって終わるところだが、せっかくピラミッドに来たので乗ってみることにした。
昔からラクダに乗って砂漠を歩くのは夢だったし、自分も先輩もエジプトよりさらにウザいインドを経験しているのでぼったくられる心配はないだろうという自惚れもあった。
2.第一の被害、ぼったくり
我々が選んだのは、相手は15歳くらいの少年ラクダ使い。
とても愛想よく話しかけてくる好青年だが、油断はできない。インドでは笑顔で話しかけてくるタクシー運転手や土産物屋に何度も騙されそうになった。「ボス」とか「フレンド」とか言ってくる奴は特に注意すべきだ。
警戒しながら交渉に臨み、一応10ドルで妥結した。
しかし油断はできない。
事前の情報では、「エジプトではお金を払う時に揉めやすい」と聞いていた。日本の企業のように見積もりで妥結したからといって終わりではない。追加見積の相談すらなく、支払い段階になって平然約束した金額を反故にしてくる、それがエジプトなのだ。
当然、降りる時にトラブルにならないよう、何度も10ドルしかかからないんだな?と確認する。
しかしそんな確認も結局は無駄だった。約束したって守らない相手との約束なんて何の意味も持たないのだから。お隣の国とそっくりだ。
当然のように追加料金10ドルを請求してくる。額にしたら大したことはないのだが、なめられてるのは腹立たしいし、我々がここで引けば「日本人はやっぱりちょろい」という印象をラクダ乗りたちに与えることになる。
しかし、いくら抗議しても平行線。逆ギレしてラクダ調教用のムチで脅してくる始末だ。あまりに長く揉めても不快な気分になるので、最後はこちらが譲歩して払ってやった。まあ後日ネタになったので良かったと思うしかない。
しかしこの少年、ひどいのはぼったくりだけではなかった・・・
3.ホモガキの猛攻
1頭には自分が、もう1頭には先輩が乗ることに。しかしラクダなんて乗ったことがないので、ちゃんと補助をしてほしい旨を訴えると、
「ノープロブレム」
と笑顔で返される。やばい。こいつらの「ノープロブレム」ほど信用のならないものはない。
案の定、ラクダは言うことを聞いてくれず、あらぬ方向へと歩きだしていく。先輩と少年が乗るラクダとの距離が離れていく。だが、これこそがラクダ使いの目的だった。
ラクダ使いは先輩と2人きりになりたかったのだ。先輩の右手をとった少年は、執拗に自分の股間を触らせてさすりながら、「今晩は一緒にホテルへ行こう」と情熱に誘ってきたそうだ。
実はイスラム教徒は婚前交渉や異性交遊が禁止されているので、ゲイが多い。「異性交遊は禁止されているけど、同性に関しては規定がないからOKやろ」というコーランの力業解釈によるものと思われる。普通に考えたら「異性交遊禁止」の戒律は淫らな心を持つこと自体を禁止していると思うのだが。
↑ 犯行に及ぶ変態ラクダ使い
そんなことを考えている内にも、少年のセクハラは続く。神聖な王の墓であり、自らの仕事場で手淫をはたらくとか、罰当たりも甚だしい。
しかしセクハラを受けながらも、スマホでその様子を激写しようとする先輩もなかなか気が狂っている。
あの世からクフ王はこの光景をどんな気持ちで見ているのだろう。
そしてこの少年、上述したように最後にラクダを降りる段階になって追加料金を請求している。客にセクハラして勝手に気持ちよくなった挙句、追加料金を請求するという最早ぐうの音もない鬼畜である。
自分は直接的な被害には遭っていないものの、この出来事がエジプト編最大級の思い出になってしまったという点で被害者といえなくもない。