タンザン鉄道、1700キロ48時間の旅 ~アフリカ旅行記⑯~
まさかのタンザニア官僚とお食事した前回 ↓
1.警察に怒られた!タンザン鉄道出発前
↑ ダルエスサラームの駅
列車到着まで時間があったので、出発前に駅でコンドームを配布することに。
呼び込み嬢のしずかちゃんと一緒に配ろうとした矢先、
「ここで何をしている!」
警察に怒られた。
駅で許可なく活動するのはご法度だったようだ。1人にも配れずにわずか3分で強制終了となった。
在職中はよく上司に怒られたが、遠いアフリカの地でも怒られるとは・・・
そうしている内に乗車予定の列車が駅に到着する。まさかのオンタイム到着に少々驚いた。というのも、アフリカ人は時間にルーズな上に、タンザン鉄道は車体が古くて故障ばかりと聞いていたからだ。
我々が乗り込んだのは1等車だが、最高ランクの部屋とは思えないほどみすぼらしい。
待合室に続いて、部屋のコンセントには電気が通っておらず、シャワーも水しか出ない。
タンザニアのダルエスサラームから、ザンビアのニューカピリムボシまでの約1700キロ、所要時間なんと48時間をこの中で過ごすと思うと、なかなか過酷だ。
そこそこの不安をよそに、列車はダルエスサラーム駅を後にする。
2.極貧に苦しむ列車旅
乗車中は、とにかく金欠で苦しんだ。
出発前にタンザニアの通貨、シリングを出発までにほとんど使いきってしまったからだ。
タンザニアシリングをザンビアの通貨、クワチャに両替することもできるのだがレートが非常に悪い。ATMでおろすほどでもなかったし、USドルを車内で両替してくれるのではという淡い期待も抱きながら乗車してしまったのだ。
結果、食堂車で食事をすることはもちろん、駅に停車するたびにやってくる売り子からバナナを買うことすらできなかった。
残されたのは、わずかな水ともしもの時に備えておいた食パンと菓子のみ。
貧しい。貧しすぎる・・・
「アフリカ=貧困」という出発前に抱いていたイメージを、自ら体現する羽目になるとは。
3.列車遅延につき・・・
定刻通りに出発して、定刻通りに到着する──そんな日本の当たり前がいかに素晴らしいく尊いものか実感させてくれる。アフリカに来てよかったと思うことの1つだ。
48時間のはずだった乗車時間だが、予定時間を過ぎても一向に到着する気配がない。
遅れに遅れて、最終的に72時間。丸3日も乗ることになろうとは…。
金欠による食料と水が、さらに重くのしかかる。精神的にも辛くなってきた。
しかし、そんな我々を見て乗客の中で数少ないアジア人だった、韓国人のおじさんが救いの手を差し伸べてくれた。
「フレンド!これでも食べなよ」
ニコニコと仏のような笑顔を浮かべながら、数枚のビスケットを分けてくれた。ぱさぱさのビスケットがここまでうまく感じられたのは、生まれて初めて。夢中になってかぶりついた。
そして、おじさんの施しはさらに続く。
「これでおいしいものでも食べなよ」
なんと食事代まで恵んでくれたのだ。
食堂車で食べたチキンとライスは、どんなご馳走よりおいしかった。
ありがとうおっちゃん!
日本のニュースでは韓国人の悪い面ばかりフォーカスされて、自然と嫌いになるように仕向けられているような気すらするけど、韓国旅行時に会った人たちは親切な人ばかりだったし、知り合いの在日韓国人もみんないい人だ。
逆にステレオタイプな半日韓国人にも一度会ってみたい。