カイロでかくれんぼ?エジプトは最後までトラブル続き ~アフリカ旅行記⑪~
ツタンカーメン王の墓で係員の賄賂攻勢にさらされた前回 ↓
いよいよアフリカ旅行、エジプト編も最終日。
翌日の夕方に、カイロ空港からタンザニアのザンジバル島へと出発するので、
夜行バスで午前中にカイロに戻ってきた。
あとは適当に街中をぶらついて空港に向かうだけなのだが、
まさか最後の最後にアクシデントが起きるとは。
1.出発当日、カイロで地下鉄に
出発前、最後においしいコシャリ(エジプトの郷土料理)を食べられる店でも探そうと、カイロの地下鉄に乗っている時にアクシデントは起きた。
2.壮大なかくれんぼの幕開け
カイロの地下鉄は、朝から晩までいつも混んでいる。
たしか滞在中は一度も座れなかったはずだ。
この日の電車もいつも通りの満員で、車内で先輩と分断されてしまう。
「まあ、あと3駅くらいだし、別にいいか」
と思ってその時は気にも留めなかったが、これが悲劇の始まりだった…
降りる予定の駅が近づいてきたので、先輩に「降りますよ」と声をかける。
しかし、返答はない。周囲を見回しても先輩の姿が見当たらない。
おかしい。まさか。
明らかに動揺している東洋人を見かねて、乗客のおっちゃんが話しかけてくる。
「お前の友達なら前の駅で降りたぞ」
その瞬間、頭の中は真っ白だ。
はぐれた。
しかも通信手段はない。
広大なカイロ市内を舞台にした、かくれんぼの幕開けである。
しかもこの日がザンジバル行きの飛行機出発日で、チケットは先輩が持っている(Eチケットを先輩が2名分予約している)。
制限時間は5時間、飛行機に乗り遅れたらカイロに置き去り&航空券代パー
という今までにない緊張感で行われるかくれんぼだ。
ショックを受けて打ちひしがれていても、事態は好転しない。
とにかく何か行動を起こさねば。人間、極限まで追い詰められると意外と冷静になるらしい。
最初は先輩が降りたと思われる駅へ行ったが姿はなし。
先輩が降りたと思われる駅も探すが、ダメ。見当たらない。
この瞬間、捜索範囲は地下鉄という限られた範囲からカイロ市内まで広がった。
3.思いつく限りの場所を探すも…
ここからは先輩の行動を想像して動くしかない。
地下鉄の各駅をしらみつぶしに探した後は、初日に泊まった日本人宿へ行くも、成果はなし。
日本人宿ではWi-Fiがあるので、一応先輩のMessengerに連絡してみる。しかし当然向こうも通信手段がないので、反応なし。
刻一刻と時間が過ぎていく。
4.腹が減っては戦が出来ぬ
考えても考えても、先輩の行き先は分からない。
焦りは増していくが、こんな時でも腹は減る。
一刻を争う事態にも関わらず、足は自然と中心街のコシャリチェーン店へ。
完全な現実逃避である。
コシャリのチェーン店。味も良く、値段もお手頃。なにより、エジプト人特有の「支払いで揉める」ことがないのが素晴らしい。
エジプトの国民食、コシャリ。ご飯・パスタ・マカロニ・豆を混ぜて、フライドオニオンとトマトソースをかけた料理で、日本人の口にも合う。エジプトにいる間中、コシャリばかり食べていた。
5.最後は勘で空港へ
悠長に食事をしている間も、時間は過ぎる。
残り2時間となり、最後は勘で空港へ向かうことに。
先輩も同じ考えで空港へ向かってくれていたらいいが、違ったら今度こそ完全にアウトだ。
祈るような気持ちで路上に泊まっているタクシーを呼び止め、空港までの値段交渉を始める。
ここまで切羽詰まっている状況なのに、無意識に値切りにいくのは自分でもびっくりする。
値段交渉が成立して乗り込むも、カイロ市内は大渋滞。
朝から晩までひっきりなしに渋滞するのがカイロの交通事情だ。
値切りなんかしてないで、さっさと乗ればよかったと後悔したが後の祭り。
5.究極の2択
予定よりも大幅に遅れて空港の近くに来たのだが、そこで運転手から予期せぬ質問が。
「どこのターミナルに行くんだ?」
またも凍りついた。
カイロのような大きな空港なのだから、ターミナルが複数あっても不思議ではない。
日本人宿に寄った時に調べておかなかったことを激しく後悔した。
ターミナル1or2
間違えたら間違いなく乗り遅れ&数万円の航空券が消し飛ぶ究極の2択だ。
国際空港なのだから、海外行きはターミナル1なのでは──いや、成田は海外行きでも2や3の場合がある。
以前、このパターンで賭けに敗れ、マレーシア行きの飛行機に乗りそびれた苦い過去を思い出す。
しかし長々と迷っている暇はない。意を決して運転手に行き先を告げる。
「ターミナル1」
6.再会
結果的に、究極の2択にも勝利し、先輩にも会えたし飛行機にも乗れた。
ちなみにチェックイン時間はとっくに過ぎていたのだが、係員に頼み込んで乗せてもらった。大学で単位をもぎ取る時に培った技術が遠いエジプトで役立つとは。
先輩は降りるべき駅を勘違いして降りてしまい、慌ててこちらを探すも全て行き違いになっていたとのこと。
色々な勘違いやリサーチ不によって、本来する必要のない捜索劇やギャンブルをすることになってしまった。
この数時間でだいぶ寿命が縮んだ気がする。
これで晴れてエジプトを後にする訳だが、正直エジプトの思い出はピラミッドやツタンカーメンの墓ではなく、
「ラクダのホモガキ」
「ツタンカーメンの墓の賄賂おやじ」
「カイロかくれんぼ」
「タクシー車内で究極の二択」
アクシデントに埋め尽くされてしまった。
もはやこれらの印象が強すぎて、ピラミッドの内部とかほとんど覚えていない・・・
(ムダに)心身共ににすり減ったエジプト編を終え、
次回より、本格的にアフリカ旅行スタート。