英語ダメでもOK。アジアで必要とされる日本人
◆ホーチミンで中心街、日本人経営のカフェへ
滞在中に、友人の紹介でホーチミンでカフェを開いている方にお会いしてきた。
市内中心街のサイゴン川寄りに位置する、そのカフェの名は「サムライカフェ・サイゴン」。
店内に足を踏み入れると、本棚に日本語のガイドブックや小説、漫画などが所狭しと並べられており、学生と思われる現地雇用のベトナム人スタッフが愛想よく応対してくれた。ここに来る際に迷ったときもコンビニで働いている若い女の子に道を聞いたのだが、その子もとても親切に応対してくれた。ベトナム人は働き者で親日というイメージだ。
席について数分ほどするとカフェの店主が登場。30代前半の見るからに頭がよさそうな男性で、カフェを経営しながらクラウドでWEB制作などの仕事を請け負ったり、生計を立てているそう。また、ベトナムで働きたい日本人向けの就職支援サイトの運営も手掛けるなど、非常に手広い。場所を選ばずに働けるノマドライフを体現しているような方で、ベトナム人スタッフが淹れてくれた本場のベトナムコーヒーを頂きながら、仕事のお話から日々猛烈な勢いで発展を続けていくベトナムの様子まで、貴重なお話を聞かせて戴いた。
次回ベトナムを訪れたら再び来店したかったが、残念ながらお店は2017年8月をもって休業となってしまったそうで、非常に残念。お店は繁盛していたようなので、経営不振というのは考えづらく、店主が何か新しい事業に携わるようになったのかもしれない。
Samurai Cafe Saigon(サムライカフェサイゴン)
◆英語ダメでも海外で働ける
「海外で働く」
大学で必修英語の単位を落とすレベルの自分にとって、それは遠い次元の話だと思っていた。
ところが近年は、英語力不足など問題でないほどベトナム、そしてアジア全体で日本人の需要は高まっているとのこと。
たとえば日本人駐在員向けの、日本食レストランだ。英語やベトナム語が喋れることは必須ではなく、日本語だけで大丈夫というだけでも驚いたが、なんと料理の経験も必要ないという。
言葉に関しては通訳がつくし、料理は専門の料理人がいる。では、一体何を求められるか。それは日本人としての「おもてなし」の心だ。細やかな接客態度や、挨拶など日本人がどうすれば満足するかのかをベトナム人スタッフに教え込むのが、主な仕事となる。そういえば上述のカフェでも、スタッフはとても愛想が良くまじめではあったが、いきなり散歩に出かけてしまって店主がビックリしているというシーンがあった。「業務時間中は勝手に出歩いてはいけない」日本では言うまでもない常識だが、海外では通じない。スタッフには、そういった文化の違いから教育しなければならないのだろうし、日本人が求められるのもうなずける。
もちろん日本人が求められているのは飲食だけではなく、建設業やメーカーなど様々な業種で日本人の現地雇用者は必要とされている。自社の社員を海外駐在させる場合、住居の手配から危険手当の交付など多額の費用がかかるが、現地スタッフであれば給与面も抑えられる上に、現地事情にも通じている。うまくその企業の事業にマッチした人材がいれば、企業にとってはメリットだらけというわけだ。
当然、年齢や職歴によっても左右されるが、日本人がアジアで求められる状況は今後も続いていくと考えていいだろう。私は暑いのが苦手なのと野球がない環境では生きられないので、日本で暮らすことにしたが、日本に息苦しさを感じている人がいたら「海外で働く」という選択肢もあることを伝えていきたい。
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